私の住んでいる町の旧名は麻布笄(こうがい)町。
笄とは髪飾り(簪:かんざし)のことです。
簪は江戸の若い衆がお目当ての女性に贈る定番アイテム、愛の告白グッズでした。
その他、箪笥町、材木町・・・
麻布界隈は日本古来の“和”の文化が町の名前に残る、江戸の匂いのする町。
きっと、この辺りにはその昔、飾職人が大勢住んでいたにちがいない、と思い込んでいました。
ところが町名由来の真相は違っていました。
源経基(清和天皇の孫で清和源氏の祖)が天慶の乱(931~)の際、この辺りを仕切る豪族が関所を設けて通行を邪魔したので、刀の笄(刀飾り)を示して通行を許されという古事に因んでのことだそうです。
また町屋ではなく武家屋敷が多かったとも書かれていました。
もっと粋な所かと思っていたのに、チョッとがっかりね。
(Photo/桜の頃の笄公園。若いお母さんたちの社交場です)